性的マイノリティの子ども達への支援

2015年4月3日 16時08分 | カテゴリー: 活動報告

昨年4月、LGBTの学校生活における実態調査の報告がありました。自殺対策に取り組むLGBT当事者団体「いのちリス ペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」が、平成 25 年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業の一環として実施。

 

この結果からは、20人の一人といわれる性的マイノリティの子ども達へのいじめや暴力、誰かに相談することもままならないという孤立の実態が見えてきます。

教育行政および学校現場は、 教師に打ち明けるLGBTの生徒が現れるのを待つのではなく、日頃からLGBTに関す る正しい情報や、肯定的なメッセージを発信する必要がある、と考察されています。

 

 

昨年の6月、文部科学省は、心と体の性が一致しない「性同一性障害」を抱える児童生徒(トランスジェンダー)への対応に関する初めての調査をした結果を公表しました。

児童生徒本人または保護者が相談し、学校が把握している事例606件への対応についての報告で、相談者本人が望まない場合は回答をもとめないこととしたもの。

子ども達の日常における、具体的な不便が見えてきます。

 主な配慮の事例は服装(制服)、髪型、学用品、更衣室、トイレ、通称の使用、授業(体育・保健体育)、水泳、宿泊行事、児童又は保護者への説明等々

 

 

◆例えばトイレ

車いすで入れる「誰でもトイレ」を設置する学校は増えています。

町田市でも学校改装の折に増えていますが、聞いたところによると、「いじめ」の空間になることを恐れて、普段は使用できないようにしている学校もあるということでした。

当事者の方にも聞いてみたところ、いじめは閉じられた空間であるないに関わらず起きるときは起きてしまうもの、「誰でもトイレ」は是非、いつでも誰でも使用できるようにして欲しい、とのことでした。この点は、市の学校教育部も了解とのことでした。

また、誰でもトイレがない場合、他の生徒が使用しない授業中に行く、もしくは学校では一切トイレを使用せず、膀胱炎になっている子どももいます。職員用トイレの使用許可や、授業中にトイレに行く生徒へ言葉掛けの配慮が必要です。ふざけて授業中に行く生徒との見分け、「休み時間に行きなさい」と注意する前に、性的マイノリティである可能性を念頭におくことが大事です。(そもそも必要ない限り、授業中には行きたくないものですよね)

 

冒頭のホワイトリボン・キャンペーンによる実態調査の結果でもわかる通り、自分が性的マイノリティである、と自覚できる年齢は、小学校高学年から高校にかけてが多くなっています。小学生のうちは、性別違和をかかえながらも、自覚できていない、なぜ自分がトイレに行きたくないのかもわからない、ということも多くあるようです。

カミングアウトできない、自覚できていない生徒がいる、ということを前提としての配慮が必要です。

 

◆体育授業用の水着を買うときの配慮

特に小学生の保護者への案内やできれば啓発も大切です。中学生はセパレート、ボクサーショーツタイプの水着が一般的になってきましたが、基本的に自由です。どの子どもにとっても、露出の少ないタイプの水着は安心できます。

 

◆性教育

性教育の場面で、「思春期になると、男の子が女の子を、女の子が男の子を好きになるのは、ごく自然なことです」という説明がなされる場合があります。性的指向が同性に向く児童の場合、自分一人だけが異常なのか、とさらに苦しむことになります。現状、モデルとなる存在が可視化されていないため、自分を性同一性障害なのではないか、と誤認してしまうケースも多々あります。学校・家族との不和をきっかけに退学・家出、トランスジェンダーの多いバー等で働いてから、トランスジェンダーではないと気付く、などです。性教育の中で知識に触れること(性の多様性や、決して一人ではないと知ること)が必要です。

 

◆児童生徒が相談しやすい体制を整えることも急務

スクールカウンセラーが各学校に滞在する日数が少ないこともあり、ほとんどの児童生徒にとって、スクールカウンセラーは遠い存在です。相談したいときに相談できるか、人目を気にせずに行ける場所にあるか、秘密を必ず守ってもらえるか等が課題です。

子ども専用の相談ダイヤル回線の案内カードが配布されることがありますが、失くしても、いつでも人目を気にせずに手に入れられる場所が学校内や子どもセンター内にあるか、手元に置きたくなるようなデザインか、カードに「性に関する相談もできます」などの文言が入っているかもポイントです。

 

性的マイノリティかつ、発達障害でもある児童の性自認の問題など、問題は数えきれないほどありますが、一つ一つ丁寧に対応していくこと、何より、先生や保護者が先回りして知識を持ち、理解しておくことが重要です。

 

 

今年3月、文科省が、同性愛者など幅広い性的少数者への対応の必要性を明記した文書を学校・教育委員会向けにまとめました

1979~1985年まで、「生徒の問題行動に関する基礎資料-中学・高校編」で、同性愛は「性非行の一種」として指導の対象であったことを考えると隔世の感があります。

不登校、自殺念慮の高さは無視できません。差別や誤解さえなければ、心身ともに健康ですから、社会へ出て活躍することが可能な子ども達です。

 

学校だけでなく、私たち地域の大人も、子どもたちを理解し、支えていくことが不可欠です。